「純血ヴァンパイアは、これくらいは簡単だよ。超能力って言えば解かりやすいかな」


困惑する私に、西海くんがさらりと言った。


「単刀直入に言うよ。俺はヴァンパイア。人間に紛れて暮らしているんだ」

「ま、まって西海くん」


だめ、もうついていけない。

陰に隠れてひっそりと平凡な毎日を送っていた私に、さっきから次々と起こる出来事は全部刺激が強すぎた。

人気者の西海くんと急接近したと思ったら、いきなり「恋人同士」なんて言われて、その上――


「ヴァンパイアだなんて……! そんなアニメや映画の世界じゃないし」

「まぁ、信じられないのは無理もないよな。俺たちはもうずっと昔から、うまく人間たちに紛れ込む術を身に付けているし。じゃあさ、おまえの話からしていこうか」


私の……?


さっき、私の長年の悩みを言い当ててしまった西海くん。

もしかしたら、彼くんは私がずっと解からずにいたことも知っているんじゃ――そう思って、ドキドキと鼓動が早まった。


「小さい頃から、危険な目に遭うことが多くなかったか? 老若男女問わずから、突然危害を加えられそうになったり、誘拐されそうになったり」


こくり、と私はうなずいた。

その通りだった。

物心ついたときから、私はどういうわけか知らない人に連れて行かれそうになったり、つかみかかられたり、と言った被害に遭うことが多かった。

中には、通りすがりの人に突然噛みつかれそうになったこともあった。