「ちょうどいいや」


と言うや、西海くんは勝手に戸棚やひきだしを開けて絆創膏を見つけ出すと、私の傷口に貼り付けた。


「これでとりあえずは大丈夫かな」

「あ、ありがとう」

「ま、今日からは俺が一緒に帰るから心配ないけどな」

「い、一緒に帰る? 誰と……?」

「おまえとに決まってるじゃん」

「ええ……!」

「当たり前だろ。俺たち今から恋人同士なんだから」

「ええええ!!」


思わず大声を発してしまった。


「こ、恋人同士って……西海くんと私が!?」

「そ」

「どうして!?」


パニックになる私とは対称的に、西海くんは悠然とした様子でにっこりと笑った。


「言っただろ、『おまえは俺のものだ』って」


それは、もちろん頭に焼き付いている……。

その直前に言った『ヴァンパイアの花嫁』って言葉も。


西海くんは保健室内に注意をはらって誰もいないことを確認すると、扉に視線を向けた。すると、

ガチャン。

扉のサムターンキーが、ひとりでに動いて施錠された。


え……? これはどういう仕組み……?

誰かが外から鍵をかけたとか? でもそれにしたってタイミングが……。