それからも私は

家の中で静かな時間を過ごした。




ずっと外に出ないでいると、

学校なんてものは

もっと遠く、違う惑星なんかに存在するもので

私には全く近づくことのないもののように思えてくる。


他人なんかどうでもよかった。

人と人が知り合い
言葉を交わし、仲良くなるということが

どれだけの知識や信用を得て繰り返されるものなのかが分からなくなっていた。


私がこの世で知ってるのは、両親と陸だけ。

そう感じる。





どうしてこんな状況になったのかわからない。

自分がわからなくて、泣き出すと止まらない時もあった。




ただいつも最後に思うことは

私は怖がりなんだと。




それだけだった。





勉強していると、母が部屋のドアを開けた。



「あさ美、林檎食べる?」




綺麗なガラスの器を持った母の手は、か細く傷だらけだった。