推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした

ー現在ー

玲那side

「Reiさんの言葉があったから桜は生きられた」
ハルカから告げられた事実に涙が止まらなくなる。
桜ちゃんに私の言葉が届いていたコト。勇気を与えられていたコト。そして桜ちゃんはもうこの世に居ないコト。
色々な事実が私の瞳から涙を溢れさせる。
「Reiさんに直接会えたら言おうと思ってたコトがあるんだ。言っていいか?」
「......うん」
ハルカは心を整えるように呼吸をする。
そして私を真っ直ぐ見つめて言葉を伝える。
「桜を救ってくれてありがとう」
私の頬に涙が伝う。色んな感情が涙になって溢れていた。
病気だった桜ちゃんの心を少しでも優しいものに出来ていたのだろうか...。実際の桜ちゃんの気持ちは分からない。それでも真っ直ぐ私を見つめて、ありがとうと言ってくれたハルカを信じたいと思った。少しでも桜ちゃんの力になれていたと思いたかった。
「...もっと沢山話したかった...。桜ちゃんのコトもっと知りたかったし、いつもコメント送ってくれてありがとうって何度も、何度も伝えたかった...」
「...うん」
「これからもずっと曲を聴いて欲しかった。感想も貰いたかった...。でも、それはできないんだね...」
「...うん。でも空の上からReiさんの曲聴いてると思う。そう思えるくらい桜はReiさんの曲が好きだったから」
「そっか...」

『音楽は空にだって届くよ。絶対、聴いてくれる』

昔カナトが言ってくれた言葉を思い出す。
桜ちゃんもお父さんと同じように空の上で聴いてくれてるかな...。
「ハルカ」
「ん?」
「私も桜ちゃんに救われたんだ。初めて曲を投稿して、初めてコメントをくれたのが桜ちゃんで...。桜ちゃんの言葉があったから私は曲作りがより楽しくなった。私の曲を沢山の人に聴いてもらう勇気が持てた...。ありがとう」
桜ちゃんも聞いてくれてたら良いな。
そんな風に思いながら私はハルカに伝えた。
「桜は本当にReiさんの曲を聴くのを楽しみにしてたんだ。だからこれからも色んな曲を作って欲しい。俺も楽しみにしてる」
「うん。ありがとう...」
「俺のソロ曲も頼んだぞ」
ハルカの言葉にドキリとする。
衝撃的な事実を伝えられ、当初の目的を忘れていた。
そうだ、私はハルカのソロ曲を作る。
私は改めてハルカを見る。
桜ちゃんの話を聞いたコトで私は前よりもハルカの存在が見えた気がした。
「ハルカはどうしてアイドルになったの?」
私の言葉にハルカはニコッと笑って言った。
「アイドルになった姿を見たいって、桜が言ってくれたから」
なんとなくそんな気はしていた。ハルカは何処までも桜ちゃんを大切に想ってる。そんなハルカの今を形作る原点には必ず桜ちゃんの存在があると思った。
「そっか...。うん。桜ちゃんにも届く最高のソロ曲を作るね」
「あぁ、楽しみにしてる」
茜色だった空は藍色に染まっていた。
悲しみと決意を胸に抱いた私が見た空は、いつもよりも綺麗に星が輝いていた。