推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした

ー3年前ー

ハルカside

「桜、調子はどう...」
「お兄ちゃん!ねぇ、コレ聴いてみて!」
「えっ...」
桜は自分の左耳につけていたイヤホンを外し、俺につけるように促す。
「お、おう」
久しぶりに見た桜の笑顔に驚きと感動で泣きそうになるのを抑えながら、俺はイヤホンをつける。
そこから流れてきたのは綺麗なメロディーと人の声と聞き違えそうになるほど上手く調教された機械の歌声だった。
そしてその声が歌う詞は弱い人に寄り添う優しいモノだった。
「これなんて曲?」
「春に咲く花って曲。たまたま見つけて聴いてみたらスゴく良い曲で感動しちゃった」
そう話す桜はとても優しい顔をしていた。そんな顔を見れたコトが嬉しかった。
「本当良い曲だな〜コメントも送ろ」
そう言って桜はスマホで文字を打ち始める。
嬉しそうな桜を俺は見つめた。そんな俺の視線に気づいた桜はクスッと笑った。
「どうしたの?お兄ちゃん。なんか嬉しそう」
「...久しぶりに楽しそうな桜が見れて嬉しいんだよ」
「...そっか。うん、そうだね。こんなに心が弾んだの久しぶりかも。こんなに...」
「こんなに?」
「...それよりさ、他の曲も一緒に聴こうよ」
桜は後に続く言葉を教えてくれなかったが、桜の笑顔を見た俺は無理に聞くコトはせず、一緒に素敵な曲を聴き続けた。