コンコンとドアを叩く音がして、私はベッドから飛び起きた。
この時間は勉強する時間と決まっているので、慌てて机に向かう。

しかしこちらが返事をする前にドアが開いていた。
顔を見せたのは父親だ。

その瞬間サッと血の気が引いていく。
ゲームに熱中していたせいで、帰ってきた車の音も聞き逃していたみたいだ。


「お、お父さん帰ってたんだね。おかえり」


できるだけ自然に見えるように言うが、表情は引きつってしまった。
机の上には白紙の参考書が開きっぱなしで置かれているし、私の右手にはスマホが握りしめられていて、ゲームが起動したままだ。

知らない間に背中にダラダラと汗が流れ出す。
そうにかこの場を収めたいけれど、無言でこちらを見つめてくる父親の圧が強くて何も言えない。

私は呆然とそこに突っ立ったままでいるしかなかった。
父親は部屋の真ん中に立っている私を一瞥すると、大股で近づいてきて突然スマホを奪い取ったのだ。


「なにするの!?」