ギリギリと歯がすり減ってしまいそうなほど噛みしめる。
目の前に50万ポイントという餌があるのに、いつまで経ってもたどり着けない。


「でもさ、本当の善人なんていないよね。誰でも裏の顔があるから、探していればきっと見つかるはず」


詩子がカルピスを一口飲んでそう言った。


「そうだね。でもそれは簡単には見つけられない」


これは想像以上の長期戦になるかもしれない。


「もしくは、無理やり裏の顔を作っちゃうとか」

「なにそれ、どういう意味?」


私の問いかけに詩子は慌てたように顔の前で手を振った。


「ただ、そういうこともできるんじゃないかなって思っただけ」

「ふぅん……?」


無理やり裏の顔を作る。か……。