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事故後浩二に会ったのは初めてのことだった。
白い部屋に白いベッド。
その中に浩二の姿があった。
「よぉ豊。今日もサンキュ」
豊が教室で読んでいたサッカー雑誌を浩二へ手渡す。
そんなの読んだってもう意味がないのに。
そう思ったけれど、表紙をよく見てみるとそれは車椅子サッカーの雑誌だった。
浩二は足がなくなった後もサッカーを続ける意思があるみたいで、驚いた。
「調子はどう?」
「あぁ。雛ちゃん」
浩二は少し照れくさそな顔でこちらへ向けて頭を下げた。
私は途中のコンビニで買ってきたプリンを浩二に手渡しする。
「ありがとう。豊以外のクラスメートと会うのは久しぶりだから、なんか緊張するな」
そう言って苦笑いを浮かべる。
「私、浩二くんのファンだったの」