今はいい人だと思えても、その過去は誰にも知られたくないものかもしれない。
かなり時間はかかりそうだけれど、ふたりの過去を掘り下げてみようか……。

そう思ったときだった。


『浩二!』


録音していた音声が急に鮮明になった。
さっきよりも大きな音で録音されているから、豊がロッカーの前にいたとkに浩二の名前を呼んだんだろう。

でも、そこで録音は終わっていた。
結局なにも情報を得ることはできなかったわけだ。

私は録音アプリを閉じて、部屋の電気を消したのだった。