第四話
〇久美子の自分の部屋
クローゼットから服をいろいろひっぱりだし、ベッドの上に広げている。
久美子「うーん…日曜日、どんな恰好すればいいんだろう」
久美子「土屋君に誘われるなんて考えてなかったから…咄嗟にOKしちゃったけど、どこ
に行くのか、聞いとけばよかったかな」
久美子(土屋君の行きたそうなところ…)
久美子(ひょっとして…廃墟巡り、とか?あとは…古本屋さんめぐりとか)
久美子(うーん…そんな感じかなあ。よくわかんないや)
久美子、いろいろ服を自分に当て、鏡を見る。
妄想の中の土屋「あ、井上さんって私服、ダサいんだ…」
そう言う土屋を妄想してしまって、ぶんぶん首を振る、久美子。
久美子「いやいや、土屋君は、そんなこと言う子じゃないって!わかってるけど…やっぱ、服選びは慎重にしとこ」
〇日曜日 駅前
久美子、ブラウスにふわっとしたスカート。派手ではないけど、まあまあ可愛い感じ。
久美子「そろそろかな…」
久美子、腕時計を見る。
土屋「おはよう、井上さん」
久美子「あっ、おは…!」
久美子、土屋を見て、びっくりする。
目の前に立っているのは、キラキラのホストバージョンの土屋。恰好こそ、白いシャツにデニムジーンズだが、それでもすごいキラキラ感。
久美子「土屋君、えっと…今日は、どこに行くの?」
土屋「あ、実は。ベイビーさん達の誕生日祝いのプレゼント、買ってきてほしいって薫
兄さんから頼まれたんだ。大体決まってるんだけど、女子の意見も聞きたくて」
久美子「ああ…そういうこと」
土屋「うん。薫兄さん、常連のベイビーさん達の誕生日祝いをすごく大切にしてるから。
一年かけて、そのベイビーさんの欲しいもの、リサーチしてるんだよね」
久美子、薫を思い浮かべる。キラキラスーツにバラの花束。
久美子「薫さんなら、赤いバラ大量にばさっと贈るとか、そういう感じかと思ってた」
土屋「そういう時期もあったみたいだけど。他のホストクラブと対抗して、こうなった
みたい」
久美子「はー…なかなか、熾烈な戦いがあるのね」
土屋「うん…じゃ、とりあえず行こうか。まず、動物園」
久美子「動物園?」
土屋「ベイビーさんに、キリンに目がない人がいて。動物園のショップで売ってるキリ
ンのぬいぶるみの大きいのがどうしても欲しいんだって。…動物園、嫌い?」
心配そうな顔をする土屋。
久美子、満面の笑みで。
久美子「大好き!」
〇動物園 親子連れや、カップルがわいわい。
久美子、ハムスターやウサギなどの小動物と戯れられる、ふれあいコーナーを見つける。
久美子、行きたくてしょうがなく、目がハートになる。
土屋、それを見て、吹き出す。
土屋「いいよ。行こうよ」
久美子「ありがとう!わあ、かわいい!」
久美子、ハムスターを撫でてもふもふ感をたっぷり味わう。
久美子「はー…連れて帰りたい…」
土屋もうれしそうに、ハムスターの背を撫でる。
久美子「土屋君も、動物好きなんだね」
土屋「うん。住宅事情がOKなら、レッサーパンダとか飼ってみたい」
久美子「レッサーパンダ!あいつの動画はヤラレルよね…」
土屋「うん…試験前に見ちゃうと、必ず後悔するよね…時間、忘れるから」
久美子「わかる~」
他にも、ライオンとか象とか定番を見て回る。楽しそうな二人。
土屋と歩いていると、若い女の子が、ちらちら土屋を見る。
久美子(わあ、土屋君、見られてる!そりゃ、そうだよね。このキラキラ度だもん)
久美子、ちらっと土屋を見る。整った横顔。
久美子(ちょっとだけ…得してる、かな?)
ショップで、キリンのぬいぐるみを買う。紙袋に入れてもらって、土屋が持つ。
久美子は、亀のキーホルダーを買う。他にも、キーホルダーを見る。
〇 動物園を出た道端
土屋「井上さん…お腹、すかない?」
久美子「すいた!」
〇カフェ
注文したのを待っている二人。
久美子、バッグからさっき買った、亀のキーホルダーを取り出して、見る。
ニコニコする。
土屋「?井上さん、亀が好きなの?」
久美子「ううん。亀に目がないのは、めぐちゃん。あ、大下さんのこと」
土屋「ああ、よく一緒にいるよね」
久美子「うん。これあげたら、喜ぶだろうなー。楽しみー」
土屋「仲がいいね。高校で仲良くなったの?」
久美子「ううん。めぐちゃんとは中学時代から仲良しなの。同じ高校行こうって受験頑張
ったんだ。そしたら、まさかのおんなじクラスになって。神様っているなって私もめ
ぐちゃんも思ったよ」
土屋「へえ。いいね、そういうの」
久美子「土屋君は、同じ中学の子とかいないの?」
土屋「うん。自宅から、結構遠いから、さ」
久美子「そうだね。電車で片道30分は、遠いよね。でも、すごいね、土屋君」
土屋「?」
久美子「自分から、誰も知ってる人がいない世界に飛び込んだんでしょ。なかなか、でき
ないよ」
土屋、表情が固まる。
土屋(そんな素敵なことじゃない…)
(僕は、逃げ出して来ただけ…)
ウエイトレス「お待たせしました」
久美子はガレット。土屋はハンバーグセット。
それぞれ食べ始める。
久美子「うーん、美味しい。美味しいの食べてると、悩みとか忘れちゃう気がするね」
土屋「…そうでもないんじゃない。女の人は、悩みとか、人に言うの、好きでしょ」
うん?と、久美子、ちょっと考えこむ。
久美子「私はそうでも、ないなあ。悩んで考えた結論をめぐちゃんに言うことはあるけど、
なんでもかんでも話しちゃったりはしないかな」
土屋、意外そうな顔をする。
久美子「うん。なんでも、一回、自分で考えてから口にしたいな。って言うか、うちのお
母さんが、考えずにガンガン言うタイプだから、自分はそうしたくないんだ」
土屋「へえ…」
土屋「女の人は言えばいい、と思ってると考えてた…」
久美子「あ、そうか土屋君は、ベイビーさん達の話聞いてるからね。そんな風に思っちゃ
うのも無理ないよね。大変なお仕事だよね」
土屋「いや…」
考え込む、土屋。
久美子「?」
どうしたんだろう、ときょとん、とする。
〇 カフェを出る。
土屋「井上さん、ちょっと待ってて」
久美子「うん」
トイレに向かう土屋。
スマホを見ながら待っている久美子。
土屋「…おまたせ」
久美子「あれ?」
土屋、学校での、前髪をおろして眼鏡をしてるスタイル。キラキラじゃなくなる。
久美子「いつもの土屋君だ」
土屋「コンタクト、痛くて」
久美子「ふーん」
久美子の動じない横顔を、じっと見つめる土屋。
二人、デパートのコスメ売り場や、アクセサリー売り場をめぐる。
〇夕方。デパートの帰りの公園
土屋「うん。大体そろったかな」
久美子「よかった。人に贈ると思うと、真剣になっちゃうね。でも、面白かった。自分
じゃ行かない売り場にも行けたし。私、あんなアクセサリーの高いお店、初めて
入ったよー」
土屋、久美子をじっと見つめる。
久美子「土屋君、今日、誘ってくれて、ありがとう。すごい楽しかった!」
土屋が黙っているので、久美子が不思議に思う。
土屋「…井上さんは、僕がどんな恰好でも、変わらないんだね」
久美子、きょとんとして、少し考える。
久美子「あー、キラキラの土屋君と、今みたいないつもの土屋君ってこと?」
土屋「うん」
久美子「それはそうじゃない。だって…土屋君は、土屋君だもん。キラキラの時の土屋君
が性格悪いとかなら話は違うけど。土屋君は、ずうっといつもの土屋君だったよ。
変なこときくんだね」
くすっと笑う久美子。
土屋、射貫かれた顔をする。
久美子「あっ、そうだ」
久美子、バッグの中を探る。
久美子、小さな袋を土屋に渡す。
久美子「これ、今日の、御礼。男の子が気に入るかわからないけど」
土屋、袋から取り出す。ハムスターのキーホルダー。
土屋、ぽかんとする。
久美子「ふれあいコーナーで、土屋君、ハム撫でて幸せそうだったから」
土屋「ありがとう…」
まだ、呆然としている。
久美子「あのね、カフェで話したこと、あれから少し考えたんだ」
土屋「…」
久美子「ベイビーさん達は、土屋君に吐き出してすっとするけど...土屋君がもらったその重
いの、愚痴とか。それは、どうやって解消するの?」
土屋「どうって...」
久美子「私、思うんだけど、土屋君も吐き出していいんじゃないかな」
土屋「え?」
久美子「なんでもぶちまければいいもんじゃないの、私も土屋君も知ってるし」
土屋「...」
久美子「だから、私とかに、吐き出せば、いいよ。...私でよかったら、だけど。
ホストのこと、知っちゃったのも、なんかの縁だと思うから」
土屋、夕日を背にしたアップ。喜びにあふれた顔で。
土屋「...ありがとう」
〇久美子の自宅前
日が暮れていて、土屋が送ってくれた。
久美子「ごめんね、土屋君、送らせちゃって」
土屋「いいよ。夜道は危ないし」
久美子「あっ、ハムスターの写真撮ったの。スマホに送る?」
土屋「え...いいの」
意外そうな顔をする土屋。
二人、スマホを操作する。
久美子「これで、よし。じゃ、また明日」
土屋「...たまに、ラインとか、していい?」
久美子「え?」
予想外の言葉に、驚く。
土屋「僕...井上さんのことが、好きみたいだ」
少し照れた、しかし真剣な顔。
久美子、驚いて声も出ない。
久美子N 突然すぎる告白に、呆然としました。
〇久美子の自分の部屋
クローゼットから服をいろいろひっぱりだし、ベッドの上に広げている。
久美子「うーん…日曜日、どんな恰好すればいいんだろう」
久美子「土屋君に誘われるなんて考えてなかったから…咄嗟にOKしちゃったけど、どこ
に行くのか、聞いとけばよかったかな」
久美子(土屋君の行きたそうなところ…)
久美子(ひょっとして…廃墟巡り、とか?あとは…古本屋さんめぐりとか)
久美子(うーん…そんな感じかなあ。よくわかんないや)
久美子、いろいろ服を自分に当て、鏡を見る。
妄想の中の土屋「あ、井上さんって私服、ダサいんだ…」
そう言う土屋を妄想してしまって、ぶんぶん首を振る、久美子。
久美子「いやいや、土屋君は、そんなこと言う子じゃないって!わかってるけど…やっぱ、服選びは慎重にしとこ」
〇日曜日 駅前
久美子、ブラウスにふわっとしたスカート。派手ではないけど、まあまあ可愛い感じ。
久美子「そろそろかな…」
久美子、腕時計を見る。
土屋「おはよう、井上さん」
久美子「あっ、おは…!」
久美子、土屋を見て、びっくりする。
目の前に立っているのは、キラキラのホストバージョンの土屋。恰好こそ、白いシャツにデニムジーンズだが、それでもすごいキラキラ感。
久美子「土屋君、えっと…今日は、どこに行くの?」
土屋「あ、実は。ベイビーさん達の誕生日祝いのプレゼント、買ってきてほしいって薫
兄さんから頼まれたんだ。大体決まってるんだけど、女子の意見も聞きたくて」
久美子「ああ…そういうこと」
土屋「うん。薫兄さん、常連のベイビーさん達の誕生日祝いをすごく大切にしてるから。
一年かけて、そのベイビーさんの欲しいもの、リサーチしてるんだよね」
久美子、薫を思い浮かべる。キラキラスーツにバラの花束。
久美子「薫さんなら、赤いバラ大量にばさっと贈るとか、そういう感じかと思ってた」
土屋「そういう時期もあったみたいだけど。他のホストクラブと対抗して、こうなった
みたい」
久美子「はー…なかなか、熾烈な戦いがあるのね」
土屋「うん…じゃ、とりあえず行こうか。まず、動物園」
久美子「動物園?」
土屋「ベイビーさんに、キリンに目がない人がいて。動物園のショップで売ってるキリ
ンのぬいぶるみの大きいのがどうしても欲しいんだって。…動物園、嫌い?」
心配そうな顔をする土屋。
久美子、満面の笑みで。
久美子「大好き!」
〇動物園 親子連れや、カップルがわいわい。
久美子、ハムスターやウサギなどの小動物と戯れられる、ふれあいコーナーを見つける。
久美子、行きたくてしょうがなく、目がハートになる。
土屋、それを見て、吹き出す。
土屋「いいよ。行こうよ」
久美子「ありがとう!わあ、かわいい!」
久美子、ハムスターを撫でてもふもふ感をたっぷり味わう。
久美子「はー…連れて帰りたい…」
土屋もうれしそうに、ハムスターの背を撫でる。
久美子「土屋君も、動物好きなんだね」
土屋「うん。住宅事情がOKなら、レッサーパンダとか飼ってみたい」
久美子「レッサーパンダ!あいつの動画はヤラレルよね…」
土屋「うん…試験前に見ちゃうと、必ず後悔するよね…時間、忘れるから」
久美子「わかる~」
他にも、ライオンとか象とか定番を見て回る。楽しそうな二人。
土屋と歩いていると、若い女の子が、ちらちら土屋を見る。
久美子(わあ、土屋君、見られてる!そりゃ、そうだよね。このキラキラ度だもん)
久美子、ちらっと土屋を見る。整った横顔。
久美子(ちょっとだけ…得してる、かな?)
ショップで、キリンのぬいぐるみを買う。紙袋に入れてもらって、土屋が持つ。
久美子は、亀のキーホルダーを買う。他にも、キーホルダーを見る。
〇 動物園を出た道端
土屋「井上さん…お腹、すかない?」
久美子「すいた!」
〇カフェ
注文したのを待っている二人。
久美子、バッグからさっき買った、亀のキーホルダーを取り出して、見る。
ニコニコする。
土屋「?井上さん、亀が好きなの?」
久美子「ううん。亀に目がないのは、めぐちゃん。あ、大下さんのこと」
土屋「ああ、よく一緒にいるよね」
久美子「うん。これあげたら、喜ぶだろうなー。楽しみー」
土屋「仲がいいね。高校で仲良くなったの?」
久美子「ううん。めぐちゃんとは中学時代から仲良しなの。同じ高校行こうって受験頑張
ったんだ。そしたら、まさかのおんなじクラスになって。神様っているなって私もめ
ぐちゃんも思ったよ」
土屋「へえ。いいね、そういうの」
久美子「土屋君は、同じ中学の子とかいないの?」
土屋「うん。自宅から、結構遠いから、さ」
久美子「そうだね。電車で片道30分は、遠いよね。でも、すごいね、土屋君」
土屋「?」
久美子「自分から、誰も知ってる人がいない世界に飛び込んだんでしょ。なかなか、でき
ないよ」
土屋、表情が固まる。
土屋(そんな素敵なことじゃない…)
(僕は、逃げ出して来ただけ…)
ウエイトレス「お待たせしました」
久美子はガレット。土屋はハンバーグセット。
それぞれ食べ始める。
久美子「うーん、美味しい。美味しいの食べてると、悩みとか忘れちゃう気がするね」
土屋「…そうでもないんじゃない。女の人は、悩みとか、人に言うの、好きでしょ」
うん?と、久美子、ちょっと考えこむ。
久美子「私はそうでも、ないなあ。悩んで考えた結論をめぐちゃんに言うことはあるけど、
なんでもかんでも話しちゃったりはしないかな」
土屋、意外そうな顔をする。
久美子「うん。なんでも、一回、自分で考えてから口にしたいな。って言うか、うちのお
母さんが、考えずにガンガン言うタイプだから、自分はそうしたくないんだ」
土屋「へえ…」
土屋「女の人は言えばいい、と思ってると考えてた…」
久美子「あ、そうか土屋君は、ベイビーさん達の話聞いてるからね。そんな風に思っちゃ
うのも無理ないよね。大変なお仕事だよね」
土屋「いや…」
考え込む、土屋。
久美子「?」
どうしたんだろう、ときょとん、とする。
〇 カフェを出る。
土屋「井上さん、ちょっと待ってて」
久美子「うん」
トイレに向かう土屋。
スマホを見ながら待っている久美子。
土屋「…おまたせ」
久美子「あれ?」
土屋、学校での、前髪をおろして眼鏡をしてるスタイル。キラキラじゃなくなる。
久美子「いつもの土屋君だ」
土屋「コンタクト、痛くて」
久美子「ふーん」
久美子の動じない横顔を、じっと見つめる土屋。
二人、デパートのコスメ売り場や、アクセサリー売り場をめぐる。
〇夕方。デパートの帰りの公園
土屋「うん。大体そろったかな」
久美子「よかった。人に贈ると思うと、真剣になっちゃうね。でも、面白かった。自分
じゃ行かない売り場にも行けたし。私、あんなアクセサリーの高いお店、初めて
入ったよー」
土屋、久美子をじっと見つめる。
久美子「土屋君、今日、誘ってくれて、ありがとう。すごい楽しかった!」
土屋が黙っているので、久美子が不思議に思う。
土屋「…井上さんは、僕がどんな恰好でも、変わらないんだね」
久美子、きょとんとして、少し考える。
久美子「あー、キラキラの土屋君と、今みたいないつもの土屋君ってこと?」
土屋「うん」
久美子「それはそうじゃない。だって…土屋君は、土屋君だもん。キラキラの時の土屋君
が性格悪いとかなら話は違うけど。土屋君は、ずうっといつもの土屋君だったよ。
変なこときくんだね」
くすっと笑う久美子。
土屋、射貫かれた顔をする。
久美子「あっ、そうだ」
久美子、バッグの中を探る。
久美子、小さな袋を土屋に渡す。
久美子「これ、今日の、御礼。男の子が気に入るかわからないけど」
土屋、袋から取り出す。ハムスターのキーホルダー。
土屋、ぽかんとする。
久美子「ふれあいコーナーで、土屋君、ハム撫でて幸せそうだったから」
土屋「ありがとう…」
まだ、呆然としている。
久美子「あのね、カフェで話したこと、あれから少し考えたんだ」
土屋「…」
久美子「ベイビーさん達は、土屋君に吐き出してすっとするけど...土屋君がもらったその重
いの、愚痴とか。それは、どうやって解消するの?」
土屋「どうって...」
久美子「私、思うんだけど、土屋君も吐き出していいんじゃないかな」
土屋「え?」
久美子「なんでもぶちまければいいもんじゃないの、私も土屋君も知ってるし」
土屋「...」
久美子「だから、私とかに、吐き出せば、いいよ。...私でよかったら、だけど。
ホストのこと、知っちゃったのも、なんかの縁だと思うから」
土屋、夕日を背にしたアップ。喜びにあふれた顔で。
土屋「...ありがとう」
〇久美子の自宅前
日が暮れていて、土屋が送ってくれた。
久美子「ごめんね、土屋君、送らせちゃって」
土屋「いいよ。夜道は危ないし」
久美子「あっ、ハムスターの写真撮ったの。スマホに送る?」
土屋「え...いいの」
意外そうな顔をする土屋。
二人、スマホを操作する。
久美子「これで、よし。じゃ、また明日」
土屋「...たまに、ラインとか、していい?」
久美子「え?」
予想外の言葉に、驚く。
土屋「僕...井上さんのことが、好きみたいだ」
少し照れた、しかし真剣な顔。
久美子、驚いて声も出ない。
久美子N 突然すぎる告白に、呆然としました。



