「紫陽花はどうなったんだ?」

「萎れていた」

「知っていたよな。熱湯をかけたらどうなるか。知っていて、椿に」

副会長と会計、椿を帰した後。

俺は霞月を問いつめた。

「結果を知っているのに、やる必要があったか?」

「椿が見てみたいようだったから」

霞月は俺の顔を見ずに答えた。

それがしゃくに障った。

「ガンちゃんが苛ついているのは、紫陽花のこと?」

「はあ?」

質問の意味が解らない。

「俺が椿と実験したこと?」

「何を言って……」

霞月の薄茶色の瞳が俺を見据えていた。

「気づいていないとでも?」

「何が言いたいんだ!?」

霞月の真っ直ぐな目が突き刺さるようで、恐かった。

「椿のこと、ただの書記か? ただの後輩か?」

ハッとした。

霞月は気づいている。

俺が椿に対し、そうではないことを。

「いつから気づいていた?」

隠せないと思い、観念した。