新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ーー柊くんの隠しごと

簡単な見取り図を書くのだと思っていた。

でも柊くんの書いた見取り図は本格的で、設計士も唸るのでは? と思える出来映えだ。

「しっかし……柊、とんでもないな。見取り図もハッキングも。温室調査する時は、温室の監視システムにフェイクの監視カメラも仕掛けるんだろう?」

「そう話していたね」

聞いていて、背筋が寒くなった。

「くれぐれも此処だけの話だからな」

生徒会長が口元に人差し指を当てて言った。

「盗聴機も仕掛けてみたらどうかしら」

「いや、もう既に仕掛けていたりして」

わたしは実際にあり得るような気がして「ないない」と否定し、首を振った。

柊くんはいったい何処まで見えているんだろう。

真相の尻尾(しっぽ)はもう見えているんだろうか。

犯人の目星はつけているんだろうか。

冷たいローズティーが喉につかえて、咳払いをし、無理やり流しこんだ。