「岩館。柊、あの後どうだった?」

「保健室で休んで落ち着いたようだったけど、今日は休んでる」

「1年休学していること、忘れていた」

生徒会室。

ローズティーを準備していると、生徒会長たちの会話が聞こえてきた。

「治ったわけではないのね。元気そうだったのに」

「昨日は暑かったからな。あいつ、昔から暑いのダメなんだよな」

昨日、生徒会室の前。

倒れこむ柊くんの体を支えた時、柊くんから薔薇の香りがした。

あの時、僅かに触れた柊くんの手は冷たかった。

もしも、柊くんがヴァンパイアではという噂が本当なら、わたしの血を吸えば倒れなかったのではないか。

ふと思った。

「椿、どうした? ぼんやりして」

「あ……ここ数日、柊さんか生徒会に居ることが続いていたから、居ないことが何だか……わたし何言ってるんだろ」