霞月の白く細い指は形も整っている。

男子の手かと思うほどなのに、その指は引っ掻き傷でいっぱいだ。

絆創膏を巻いている指もある。

霞月が爪にマニキュアを塗っている理由も知っている。

霞月は幼い頃から、たびたび入退院を繰り返していた。

幼い頃、霞月と遊んだ記憶はあるが、外で遊んだことは1度もない。

学校に通うようになっても、霞月は体育の授業は毎回、見学していたし、朝礼も体育館の壁際に体育座りで座っていた。

霞月は昨年、療養のため渡米して1年休学した。

生まれつき血液の病気で虚弱体質のため、未だに顔色も悪いし、爪も鬱血して色が悪い。

チアノーゼのせいで、桜色のマニキュアで爪の色を隠しているそうだ。

休学する以前よりは数段、調子はいいらしい。

それでも相変わらず用心は必要で、色々と制約はあるそうだ。