それから更に数日が経った、ある日の放課後。


「中城さん。今日このあとって時間ある?」


帰ろうとしていた私は、隣の席の東くんに話しかけられた。


「時間はあるけど、どうしたの?」

「実は僕、幼なじみの女の子に誕生日プレゼントを渡したいなって思ってるんだけど。何が良いのか分からなくて。中城さんが良ければ、放課後に付き合ってもらえないかなと思って」


幼なじみへの誕生日プレゼント、か。


東くんって、幼なじみ想いで優しいんだな。


「あっ、うん。私で良ければ付き合うよ」


今日はこのあと暇だし。


「ほんとに? ありがとう」


東くんの唇が弧を描く。


「えっ、なになに? 亜実、東くんと出かけるの? もしかして、デート?」


茉世ちゃんが、ニヤニヤ顔で聞いてくる。


「デ、デートじゃないから。東くんの買い物に付き合うだけだよ」


私は、ブンブンと右手を思いきり振って否定する。


「そっか。亜実、気をつけてね」

「うん。行ってくるね」


茉世ちゃんに手を振られ、私は東くんと一緒に教室を出た。