「お願い?」


何だろう。


「血は吸わないからさ。亜実ちゃんが良かったら……これから毎日、俺にもお弁当を作ってきてくれる?」


お弁当?


「昨日も今日も、亜実ちゃんのお弁当凄く美味しかったから。これからも毎日食べたくて。人の食べ物で、また食べたいと思ったことは生まれて初めてだよ」

「わっ、分かった」

「やった! ありがとう。明日から楽しみだなぁ」


先ほどとは打って変わって、子どもみたいに嬉しそうに笑う都輝くん。


「それじゃあ、明日からもお昼はここで一緒に食べよう」

「分かった」


さっき襲われそうになったときは、すごく怖かったけど。


彼にお弁当をまた食べたいと言われたのは、素直に嬉しくて。


都輝くんのお願いを断る選択肢なんて、私にはなかったんだ。