「……フラフラする」


普段からなぜか貧血になりやすい私は、学校の昼休み、保健室へと向かっていた。


──ガラガラ。


「あら、中城(なかじょう)さん。今日も具合悪いの? そこで寝てて良いわよ」


高校に入学して1ヶ月と少し。

保健室の常連になりつつある私を、養護教諭の先生はすんなりと受け入れてくれた。


私は、保健室の窓際のベッドへと横になる。


「おやすみなさい」


それからすぐに、眠りについた私だったが。


保健室がオレンジ色に染まる頃。


「ん……」


ふと身体に重みを感じ、意識が浮上する。


あれ、何だろう。身体がやけに重いような。


目が覚め、まぶたを開けると──。


金髪の端正な男の子の顔がすぐそばにあり、私は馬乗りにされていた。


え!? 何、この状況……!


ていうか、だ、誰!?


びっくりしすぎて声も出せずにいると、男の子は艶やかに口元を上げた。


「キミ、すごく良いにおいだね」


彼の長い指が私の首筋をなぞり、小さく震える。


「ねぇ、お腹空いたんだけど。キミの血を俺にちょうだい?」