話はまた明日――そう祖母の病室で言われ、家に帰ったとき、スマホには一通のメッセージが届いていた。

《明日の朝、ちょっと早めに登校できる?》



 天気予報アプリによると、今日の天気は、晴れのち曇り。
 昨日の初夏並みの気温から一変して、朝は過ごしやすいそよ風が吹いていた。

 登校時間を早めた私は、少し落ち着かない心地のまままた旧校舎裏にやって来た。
 校舎の角を曲がった先には、ミヤケンの後ろ姿が飛び込んでくる。

「あ、佐山ちゃん。おはよう」
「おはよう、ございます」

 今日も彼は如雨露を片手に、花に水をあげている。
 すべての花に水を与え終えたミヤケンは、如雨露をもとの場所に戻すと、私を近くのベンチに手招きした。

「じゃあ、ここに座って。とりあえずお互いを知るための自己紹介からはじめようか」
「自己紹介……?」
「そう。特に俺は、佐山ちゃんのことをもっと深く知る必要があるでしょ。これから手伝い役、するんだからさ」

 ミヤケンは清々しい笑みを浮かべていた。