心優しい国王は王妃を堂々と愛したい

トゥーラから魔女狩りについて聞いた日の夜、
オーディンが久しぶりに
フレイアの元を訪れた。

ワーカホリックな国王は
西に東に国内を飛び回っており、
城にいること自体が珍しい。
オーディンが不在の時は
ほとんどの場合が
宰相ヴォルヴァが城を仕切っているので、
敵視されているフレイアの出る幕はなかった。

「フレイア、久しぶり。元気にしていたかい?」
自分こそ疲れているだろうに、
オーディンは少しもそんな素振りはみせない。
「おかげさまで、私は元気です。
オーディン様こそ、お疲れではないですか?」
「疲れてないと言えば嘘になるけど、そうも言ってられないからねぇ。」
オーディンは深いため息をつく。

「国民の間で謎の体調不良が続出していると聞きました。」
「フレイアの耳にも入ってるんだね。そうなんだ。
政府としては一刻も早く原因を究明しないといけないんだが、
まるで手がかりがなくてね。」
「体調不良を訴える人に何か特徴はないのですか?」
「それが特にないんだ。アスラウグからの輸入品には厳格な品質検査をしているからそこは問題ないし。
うーん、ちょっと今お手上げ状態なんだ。」