モモイロセカイ

だからこそわかってしまう。
あそこで行われているのは間違いなく性行為だ。

なんだか大変なものを見てしまったかもしれない。
焦りからだろうか、羞恥からだろうか。ドクドクと自身の心音が大きく聞こえ、モモの体には熱が灯る。

「もっと動いてくれない?イケないんだけど」
「っ…ごめッ…んあっ!…」

「ウザい」

夕日は気だるげな表情で体を起こすと、今度は自分から腰を振った。

先ほどの音とは比にもならないぐらいに大きく速いテンポで突かれていくのを見ると、なんだかモモまで変な気分になってしまう。

「アッアッアッアッ…」

「っ…イクッ」

夕日の顔がふと苦しげに歪むと、二人はそのままの状態で動かなくなる。

女の人がぐったりと夕日に抱きついているのが気に食わない。
モモも抱きつきたいのに。

ズグリと下腹あたりが疼く。
あの女の人もこんな気持ちなのだろうか。なんだか切ないような気持ちいいような不思議な気分だ。
モモも夕日に言えば同じようにしてもらえるかなとちらりと思ってみる。

「…離れろ」

「…んっ…」

夕日は女の人の中から抜かれた男性器から、ゴムのようなものを取り外す。
そこに溜まっているのは彼が出した精液だろうか。

その白さが余計に男性器の大きさと色を引き立てる。

夕日が部屋から出てこようとしているところを見て、モモはダッと部屋の前から逃げ出した。
少し足音が聞こえてしまっただろうが仕方ない。

なぜだかわからないが、モモの鋭い第六感が見つかってはいけないと言っている。

脱兎の勢いで教室に駆け戻ると授業が半分ぐらい進んでいた時だったらしく、黒板にはびっしりと文字が埋まっている。
教師はモモにちらりと目を向けるも何も言わない。
軽く息を整えるにつれ、先ほどから感じていた謎の高揚感も収まってきたので、走ったのはある意味正解だったのかもしれないと思う。

直人から物言いたげな視線を受けながら、モモはこれを書き写すのは大変だななどと考えていた。