モモイロセカイ

抜け出すにしても夕日はどこにいるのだろうか。

探すとは言っても、学校のことをあまり知らないモモは見学時に冗談半分に教えてもらったサボりスポットを見て回るしかない。

まずは屋上に向かおうと階段を登る。
校舎が五階まであるため、二階に教室があるモモにとっては中々の重労働だ。
今の時間帯は屋上には誰もいなかったようで、広々とした景色の見える外に出てみても誰の姿も見当たらなかった。

屋上に居ないのなら空き教室だろうかと思い、五階にある使われていない教室を外から覗き込んでみる。
ほとんどの教室は鍵がかかっている仕様で使えないのだが、中には鍵をかけ忘れたか何かで偶然使えることがあると聞いた。

何ヶ所かにサボりをしている人を見つけたが、今の所覗き込んだ教室に夕日らしき人の姿はない。

「あれ、モモさんどうかしたんっスか?」

「夕日探してるー」

モモに気付いて教室から出てきた生徒はどうやらbeingのメンバーだったらしく小走りで近付いてきた。

モヒカンのメンバーはモモの言葉に、驚いたようにその鶏冠のような髪の毛を揺らした。
モモは思わずその光景に吸い寄せられるように視線を向けた。

重力を蹴散らしたかのように逆立っている髪の毛は、脱色しているようでこれぞザ・茶色な色だ。

「ぇっ…、夕日様っスか?
てっきり初日はずっとモモさんと一緒にいるものだと思っていたっス」

「…うん」

思わず髪の毛に圧倒されていた。