モモは決心すると教科書に目を向けたまま直人に問いかけた。
「ねぇねぇー、夕日、どこ行ったのか知ってる?」
「え゛っ」
モモとしてはただ気になったことを軽く口に出しただけであるのに対し、返ってきたその反応はやけにギョッとしたようなもので、モモは訝しげに眉を寄せ硬直している直人を見た。
瞳孔が開いており焦っているのだろうと伝わるが、それほどに焦るような状況だっただろうかとモモは首を傾げた。
奈子は直人には興味が無いようで、モモの教科書をペラペラと捲っている。
そんな奈子の手には閉じられた自身の教科書があったのだが、それを見るつもりはないようだ。
「危ない所ではないんでしょ?」
「え、いや、まぁ……」
明らかに挙動不審な直人は気がかりだが、夕日に危険がないのならどこに行っていたって構わない。
モモに何も言わずに行ったことはなんだか寂しいとは思うが、きっとモモが囲まれていて話せなかっただけかもしれない。
「あ、ねぇモモちゃん、これじゃない?」
ついに該当のページを見つけたようで、奈子は文字を指でなぞってモモの肩をトントンと叩き教科書を見せた。
モモがその指を指している場所を覗き込もうとすると、奈子がモモに教科書を見せようと動いた影響か、ボブに切られた髪が揺れふわりと花のような甘い匂いがする。
そこには確かに金属の性質が書かれており、モモのうろ覚えな知識とも一致する。
「ほんとだ、凄い!」
パッとモモが顔を輝かせ褒めると、奈子は嬉しそうに頬を赤くして笑った。
ノートに考察過程と回答を軽く記録しておく。
「ねぇねぇー、夕日、どこ行ったのか知ってる?」
「え゛っ」
モモとしてはただ気になったことを軽く口に出しただけであるのに対し、返ってきたその反応はやけにギョッとしたようなもので、モモは訝しげに眉を寄せ硬直している直人を見た。
瞳孔が開いており焦っているのだろうと伝わるが、それほどに焦るような状況だっただろうかとモモは首を傾げた。
奈子は直人には興味が無いようで、モモの教科書をペラペラと捲っている。
そんな奈子の手には閉じられた自身の教科書があったのだが、それを見るつもりはないようだ。
「危ない所ではないんでしょ?」
「え、いや、まぁ……」
明らかに挙動不審な直人は気がかりだが、夕日に危険がないのならどこに行っていたって構わない。
モモに何も言わずに行ったことはなんだか寂しいとは思うが、きっとモモが囲まれていて話せなかっただけかもしれない。
「あ、ねぇモモちゃん、これじゃない?」
ついに該当のページを見つけたようで、奈子は文字を指でなぞってモモの肩をトントンと叩き教科書を見せた。
モモがその指を指している場所を覗き込もうとすると、奈子がモモに教科書を見せようと動いた影響か、ボブに切られた髪が揺れふわりと花のような甘い匂いがする。
そこには確かに金属の性質が書かれており、モモのうろ覚えな知識とも一致する。
「ほんとだ、凄い!」
パッとモモが顔を輝かせ褒めると、奈子は嬉しそうに頬を赤くして笑った。
ノートに考察過程と回答を軽く記録しておく。

