モモイロセカイ

担任は、どこか気だるげな様子が目立つ人だった。
その人はモモを引き連れ、職員室に入る夕日に気がつくと椅子の背もたれに持たれつつ緩く片手を挙げて振った。

「おーおーお前か転校生。
あの(・・)夕日が溺愛していると聞いて驚いてたが、まさか本当だったとはなぁ」

担任はモモを興味深そうにジロジロと見ると、夕日は嫌そうに眉を寄せモモを背中に隠してしまう。

「へぇ…、意外だな」

校長にも言われたが、何が意外なんだろうとモモはまた首を傾げた。

それから、とりあえず例の挨拶をしていなかったことを思い出し、モモは慌てて校長にしたのと同じように頭を下げる。

「あの、お世話になります!モモです!」

「あー知ってる、転校生。
もう学校は終わるけども、顔見せ程度に挨拶してけー」

夕日が言うには、今の時期は夏休みという長期休みの寸前らしい。
夏休み終わりから行くかと聞かれたが、一刻も早く学校に通ってみたかったモモは最速の日、つまり今日を選んだという訳だ。

夕日はモモと一緒に教室に入るつもりらしく、この担任が夕日に教室へ帰れと言っても聞き流している。

モモとしては一緒に来てくれるのは嬉しいが、それで大丈夫なのだろうかとも少し思う。

時間になったようで教室に連れていかれると、まずモモは教壇に立たせられた。