モモイロセカイ

外出した時はあまり思わなかったが、この空間にいると夕日の艶やかな黒髪がやけに目を引く。

そんな余計な思考を巡らせている間にも、朝日は一歩前に進みモモの方を振り返っている。やけに様になっているその様子はきっと、下っ端たちの代表としての位置であり朝日の本来の立ち位置なのだろう。

モモは当てもなく分散させていた目の焦点を朝日に合わせた。

「…ここには俺たちと同じ学校に通っているメンバーだけを集めた」

どうやら集まっているメンバーは全員ではないらしい。なかなか一箇所に集まることがないのでどれほどの人がいるのかもわからない。

これほどの人数が学校に通うとは、もしかしたら学校はモモが想像しているよりも凄いところなのかもしれない。まず最低限にこの人数が通っていて、それにきっとそれだけではなく人がもっと多くいるんだろう。
モモの見にいったあの校舎にこれ以上の人数が入るというのだろうか。

朝日は驚いた顔をしているモモを一瞥すると、そのまま言葉を続ける。

「これは華にも言ったことだが、俺たちの族と関わっているというだけの理由が、少なからず狙われる原因となる。だからモモにも、常にとは言わないが警戒をしておいて欲しい」

「ん!」

どのように警戒をすればいいのかがよくわからないが、何か危ないことがあるのかもしれないということはわかった。

モモは神妙に口を引き結んで頷いて見せる。

「それと、もし夕日や直人、俺が近くにいなかった時はこのメンバーたちにも遠慮なく頼ってくれても構わない」

そっと朝日から目を逸らし後ろの方の下っ端たちを見てみると、ほとんどのメンバーがモモを見つめていたようでその多くと目が合った。
どうすればいいのかわからなくて夕日の手を引き見上げる。