モモイロセカイ

時間から考えても、直人が華を送り届けた時に撮られたのだとわかる。

「撮られたのか」
「…わりぃ」

「次からは警戒しろ」

下にはリプライが続いているようで、色々な人からのコメントがそこに集まっていた。

“待って、この女見たことある!”

“一緒に居るのが春馬様か夕日様だったらまだしも、直人様だから信憑性高いと予想”

モモはそのコメントを流し見て、これって誰でも書き込めるのかななどと考えていた。

「Beingってこのチームでしょう?
姫ってお姫様?」
「…難しいな。
ここの伝統みたいなものなんだけど、お姫様みたいな扱いをされるから、そう呼ばれてる。大方、王様(あさひ)の大切にしている女の子って所かな」

「じゃあ、華はお姫様になったの?」

モモは誰も座っていなかったソファーにいつの間にか座っていた華を見た。
バースデー席の一番目立つところだ。

「…そのソファー朝日のなんだけど」

「…構わない。座っていればいい。
むしろこの写真を撮られたせいで狙われることになって、すまないと思う」

モモは話の流れについていけなかった。

お姫様だというのに、どうして華が狙われると言ったような話になっているのだろうか。モモにとってのお姫様とはみんなから守られるものであり、そう狙われているものではない。
それとも悲劇のお姫様だと言うのだろうか。

モモの困惑を見て取った夕日は、優しくモモの髪の毛を指で梳きながら、モモに分かりやすいようにとできるだけ噛み砕いて説明をする。

「Beingには敵がいる。モモはどこか覚えてる?」
「ん、青鷺!」

「そう、正解。
なら、モモがその敵に倒されそうになったら、モモはどうする?」

モモが敵に倒される?
想像がつかなくて、モモはごろりと後ろに倒れ、下から夕日の顔を困ったように見上げた。

「その敵には明らかな弱点があるんだ」

「…脳?」

人体の中で一番複雑な場所は脳なのだ。
壊してしまえばほとんどの場合にもう修復ができない。