鉛筆を紙の上で滑らせるように縁取った中を塗っていく。まるで見本を見て描いているかのような素早さだ。
だがその塗っている管のようなところが真っ直ぐではなく凸凹しているのが気になる。
「ここが大動脈ー、こっちが肺静脈ー」
「…」
モモは内側を塗り終えると消しゴムを持ち、角の方で少し表面を削り、表面の目立っていない血管のところを少し際立たせた。
「できた!
なんだかわかるー?」
「…心臓か?」
「んー、惜しい!
正解はー、”心筋梗塞を起こした心臓”でしたー!」
鉛筆一本で描いてある白黒の絵だというのに、実物を見ているかのような変な違和感が朝日を襲う。
これは辞めさせよう。そう心から思った。
とりあえず絵を回収しようと、朝日はモモに呼び掛けた。
「それ、くれないか?」
「欲しいの?あげる!」
朝日は受け取った絵をそっとひっくり返しておいた。
その裏紙は偶然にも病院の求人広告だったようで、それを見てしまった朝日は無言で上からもう一枚白い紙を掛けておく。
「んー、次はぁ…」
「待て。次は、…次は俺と一緒にトランプでもしよう」
床に転がってあったトランプの箱を見つけ、朝日はこれ幸いとモモに提案をした。
大方、深夜に春馬が直人を誘い一緒に遊んでいたのだろうと推測される。玲がまた口うるさくなるので、そろそろ自分で片付けろと注意すべきだろうか。
「ん、…んー、もう一枚描こうと思ってたけど、いいや!
モモが一緒に遊んであげる!」
それを聞いた朝日は心底安心したのだとか。
朝日は器用にトランプをシャッフルして配った。
「ババ抜きだ」
「おぉーっ!」
二人とも黙々とペアのカードを捨てていく。
嬉々として手札を揃えていたモモだが、ある程度を捨てると徐々に口を尖らせていった。
「…ねぇ朝日ー」
「なんだ」
「ジョーカー持ってる?」
「何を言っている」
「だってモモジョーカーない!」
モモは自分の手札を見る。そこには揃っていない手札が数枚残っているだけでジョーカーは入っていなかった。
自分が持っていなかったら相手しか持っている相手はいないのだ。
朝日はバレたかというようにクッと口角を上げた。
二人で行うババ抜きに、一体需要はあるのだろうか。
だがその塗っている管のようなところが真っ直ぐではなく凸凹しているのが気になる。
「ここが大動脈ー、こっちが肺静脈ー」
「…」
モモは内側を塗り終えると消しゴムを持ち、角の方で少し表面を削り、表面の目立っていない血管のところを少し際立たせた。
「できた!
なんだかわかるー?」
「…心臓か?」
「んー、惜しい!
正解はー、”心筋梗塞を起こした心臓”でしたー!」
鉛筆一本で描いてある白黒の絵だというのに、実物を見ているかのような変な違和感が朝日を襲う。
これは辞めさせよう。そう心から思った。
とりあえず絵を回収しようと、朝日はモモに呼び掛けた。
「それ、くれないか?」
「欲しいの?あげる!」
朝日は受け取った絵をそっとひっくり返しておいた。
その裏紙は偶然にも病院の求人広告だったようで、それを見てしまった朝日は無言で上からもう一枚白い紙を掛けておく。
「んー、次はぁ…」
「待て。次は、…次は俺と一緒にトランプでもしよう」
床に転がってあったトランプの箱を見つけ、朝日はこれ幸いとモモに提案をした。
大方、深夜に春馬が直人を誘い一緒に遊んでいたのだろうと推測される。玲がまた口うるさくなるので、そろそろ自分で片付けろと注意すべきだろうか。
「ん、…んー、もう一枚描こうと思ってたけど、いいや!
モモが一緒に遊んであげる!」
それを聞いた朝日は心底安心したのだとか。
朝日は器用にトランプをシャッフルして配った。
「ババ抜きだ」
「おぉーっ!」
二人とも黙々とペアのカードを捨てていく。
嬉々として手札を揃えていたモモだが、ある程度を捨てると徐々に口を尖らせていった。
「…ねぇ朝日ー」
「なんだ」
「ジョーカー持ってる?」
「何を言っている」
「だってモモジョーカーない!」
モモは自分の手札を見る。そこには揃っていない手札が数枚残っているだけでジョーカーは入っていなかった。
自分が持っていなかったら相手しか持っている相手はいないのだ。
朝日はバレたかというようにクッと口角を上げた。
二人で行うババ抜きに、一体需要はあるのだろうか。

