いつの間にか眠ってしまっていたモモは、意識が覚醒すると、夢を見る間もなく飛び起きた。隣にいつも通り眠る夕日を見つけ、モモは安堵した。
よかった、捨てられてない…。

まだ時計は5時半ごろを示していたため、モモがゆっくりシャワーを浴びたとしても夕日たちの見送りには間に合う時間だ。

モモは昨日からモモと夕日が共同で使うことになったクローゼットを開けた。
どれも夕日がモモに選んでくれた、最高に可愛い服だ。モモは下着とワンピースを一枚持ってシャワーへと向かう。

シャワーを浴びて、モモはいそいそと買って貰ったその服を着用する。

ドライヤーをかけ髪を乾かすと、モモは夕日を起こすために外に飛び出した。

「夕日ぃ、起きてー」
「…」

基本的に夕日は朝日と同じように寝つきがいい。
朝日ほどずっと眠っている訳ではないが、起きた時はいつもより少しだけ機嫌が悪いのだ。

モモから見た夕日は、テレビに出ている俳優なんかよりもずっとかっこいい。キラキラしているし、シュッともしている。

起きないなら別にいいかなと、モモは夕日のツンと尖った鼻先に緩くかじりついた。
途端に夕日の目がバッチリと開き、モモは思わずビクッとして離れてしまう。

「…なにしてるの?」

「…噛みたくなった…」

モモが俯いてそう言うと、夕日は大袈裟な様子で顔を覆いため息をついた。