モモイロセカイ

モモはその状況を楽しんでいるようで、女と繋いでいる手を上下に振る。

「お前らの距離感見てたらそりゃ初対面は驚くだろうよ…」
「最近見慣れてきたし、まあいっかなーって思ってたんだけどね」

「…思うんですけど、
貴方たち初対面からその距離感じゃありませんでした？」

モモはそうだったかなと夕日に拾われた時を思い出した。
いやあの時はモモはまだ少し夕日を心の底では警戒しており、そんなに近い距離ではなかったと思う。

全部夕日がモモを甘やかすのが悪い。

モモはその結論に達し完結した。

「お前、名前は？」

朝日が、和気藹々とした雰囲気を断つようにいつも通りに話を切り出した。
その声でモモや幹部たちはピタリと話すのを辞める。

女は緊張しているようでモモの手を握る手に力がこもった。

「わ、私は、立花華と言います…」

玲が目の前のノートパソコンを素早くタイピングする。
おそらくモモには想像もつかないような方法でその名前を検索しているのだろう。

「えっと、…ご存知ないと思いますが、私、朝日様たちと同じ学校に通っていて…その、クラスは一緒になったことがないんですけど…」

「朝日と同じ学校というと…」
「あ、成麗です、」

「がっこう？」

疑問が思わず漏れたモモの言葉に、夕日が背後からそっと、社会に出るための教育をしてくれる所だとこっそり告げてくれる。