モモイロセカイ

次に夕日はモモを連れて洋服屋に向かった。
上品なレースの白のワンピースを見ていると、店員がやけにミニ丈を勧めて来たのだが、夕日は膝丈の方がいいらしいのでそちらを購入する。

「ご試着されますか?」
「お願いっ、します!」

試着したワンピースは膝丈だか背中の上半分がレースになって透けているタイプのものであった。
今まで着ていたスウェットを脱いでいるせいか、なんだか風通しがよくてショッピングモールの中では肌寒い。

カーテンを開けると、モモは少し離れた所に待機していた夕日の所にまでタタッと駆け寄る。
ついでにくるりと一周回ったら、ふわりとワンピースの裾が舞い上がった。

「どう?モモに似合う?」

「…天使かと思った」

キャー!とどこからともなく歓声が上がった。

モモは驚いて周りを見ると、女性の店員が何名か、やってしまったとばかりに手で口を抑えているのが見える。

「このズボンもサイズが大丈夫か見ておいてくれ」
「ん!」

ズボンとショートパンツのサイズはモモにピッタリと合っていて履きやすかった。
モモは再びスウェットを身につけると荷物をまとめて試着室を出る。

会計を済ませ軽い日用品を買うと、二人はショッピングモールを出た。

今更ながら、モモが持っているのは最初に買った、かなり軽い下着の入っている袋だけだ。その他の比較的重さのある日用品や服は全て夕日が持ってくれている。

病院でもモモがファイリングされた資料を沢山積んで持っていたら、代わりに2603番が運んでくれるときがあった。
その時にもホカホカとした気持ちになったのだが、なんだか夕日に対してはギュッとした気持ちが勝つ。

モモは歯がゆいようなムズムズとした“好き”を噛み締めた。

「車は駐車場に停めてあるって」
「車停めるところ?」
「そ」

そこまで歩こうと夕日が差し出した手をモモは笑顔で取った。

ショッピングモールを出た瞬間に感じるむわっとした空気に不快感を感じ、モモは思わずキュッとパーツを中心に寄せるように顔を顰めてしまう。

外には夕日が出ているようで辺り一面が真っ赤に染っていた。

「わあぁ…、綺麗…」
「あれが夕日だ」

「?
同じ名前?」

夕日は消えていく太陽を見つめながらおもむろに頷いた。

赤く照らされ染まる夕日(・・)はとても綺麗だった。