夕日がモモを拾ってから既に1週間の時が経っていた。

一日三食の食事以外におやつを与えられるままに食べていたモモの体は成長し、少しだけだが健康的な皮下脂肪も増えてきた。

最低限ではなく余分な栄養素を摂ることで成長の余裕が生まれたらしく、身長も伸びてきているらしい。
モモの能力は自身の体においては自動的に動くのだが、体の成長が促された結果、夜にかなりの痛みを伴った成長痛と共に翌日にはなんと10センチ程身長が伸びていたのだ。

それがどれほどの痛みであるかは、痛みと声を抑える為にモモが噛んでいた新品のタオルとクッションが、まるで三年間使い込んだかのような有様になってしまったことからもわかるであろう。

ようやく成長痛が収まってきて、身長を計ったところ159センチもあった。
元が見たところ140センチぐらいであったのて、その成長は計り知れない。

元着ていた服が着れなくなったモモは、今、夕日のスウェットを身につけている。

平日の昼間は夕日たちは“学校”という所に行っているらしい。
それでも誰か一人はモモのために学校を休んでくれているらしく、モモは申し訳なく思っていた。

今日はみんな休みの日らしく、幹部室にはみんな揃っていた。

ぴょんとモモは寝転ぶ夕日のお腹の上に伸し掛かった。

夕日はモモを落とさないように腰を支えながらゆっくりと体起こす。
モモは夕日のあぐらの中に向かい合った状態ですっぽりと収まった。

「大きくなってきたな」
「えへ、いい体でしょー?」

「抱き心地も良さそうだ」

「ひゃー、皮下脂肪!」

ぷにりとようやく摘めるようになってきたお腹に、モモは嬉しそうにしている。

「お前ら日用品買いに行くんじゃねーのかよ…」

アイスキャンディを食べている直人が、未だにゴロゴロとしている二人を見て呆れたように口に出した。

「行く!」

モモは持ち上げられ床にトンと降ろされる。

準備をするとはいえモモに持っていく荷物などはほとんどない。モモの持ち物は2603番から貰った二万円しかないからだ。

「外は暑いから被っとけ」

帽子を被せられる。

夕日もモモと同じスウェットを身につけていたため、パッと見はまるでペアコーデのようだ。

「わぁ、ありがとう!」

「行ってくるねっ!」
「行ってらっしゃーい!後で何買ったか見せてね!」