無事に洗濯物が返ってきたモモはスウェットを脱ぎ、昨日まで着ていた服を慣れた様子で身につける。
白衣を身につけるとそこにはもういつものモモがいる。

玲は夕日とモモとついでに直人を連れて病院に行くらしい。
外から中が一切見えないフルスモークの車に、モモは今揺られていた。

ちなみに起きてこなかった朝日はまだ眠っているらしい。

出た所はモモのいたような大きな病院ではなく個人営業の小さな所だった。

「おーいじじぃ来たぞー」

「おや、直坊か。また喧嘩して怪我したのかえ?」
「ちげーよ、俺じゃねぇ。
夕日の検査頼もうと思って」

中から出てきたおじいさんは年寄りを労れなどと言って直人を叩いているが、その様子は仲が良さそうだ。

「それにしても女子連れとは珍しいのぉ」
「あぁ、コイツは…」

飾るように置かれていた小さな人体模型に懐かしさを感じジッと見ていたモモが、夕日に肩を叩かれ顔を上げる。

おじいさんとモモの視線が合った。

「んお??お主……100番ではないか?」
「ん?
んー…、1596番?」

「そういや昨晩アイツがやけに慌てて電話を掛けてきたが…
…なるほどのぅ」

おじいさんこと1596番はニヤニヤと笑い、表情を歪めている。
1596番がこのような表情をしている時はろくでもないことを考えている時だ。モモはべーっと舌を出して見せた。

「お前、じじぃの知り合いか?!」

「同僚みたいなものじゃろか。それにしてもやっと逃げ出してきたのかえ?」
「ん」

1596番は奇妙な縁があるもんじゃのとモモの頭をシワの多い手でゆっくり撫でる。

「100番がそちらにおるのなら、どうせ手前らの中に酷い怪我人はおらんのじゃろ?」

そう言うと1596番はまずは話を聞こうかのと診察室のような場所の扉を開けた。