少女は襲いかかってくる眠気でふわふわとしていた。いつの間にか六時を過ぎており、少女は一晩を寝ずに過したことになる。
自己紹介は何とか意識を保てたが、ここから先の本番の話し合いにはもう参加出来ないだろう。

コクリコクリとしていると、夕日が大きな手でモモの視界を遮るように目を塞いだ。
話し合いの声もまるで子守唄のように感じる。

モモの意識はゆっくりと落ちていった。

「それで、これがアイツらから送られてきた夕日の写真なんですけど
…なにがありましたか?」

玲が、眠るモモの髪を梳く夕日に向かって真剣な顔でそう切り出す。

彼がよく見えるようにノートパソコンの画面いっぱいに拡大した画像には、確かに地面に倒れているボロボロの夕日の姿が写し出されている。

それにしても酷いものだ。
地面に流れた血の多さといえ、蹴られすぎて捲りあがった服から除く腹の青さといえ。
本当によく生きてたと思う。

夕日は覚悟を決めたように軽く息を整えると、記憶を追うように話し始めた。

「見回り中、俺が一人になる時間を見計らってかいきなり四人ぐらいに押さえつけられ後ろから殴られた。
まァしばらくは抵抗したんだが、意識が朦朧とし始めてからはわからない。もしかしたらずっと蹴られていたのかもしれないし、すぐに解散したのかもしれない。
多分腕は骨折してたな。
俺がBeing(ここ)の幹部だと確認してきたから、多分チームが狙われてる」

夕日がここまで一息に話すと、チームの目が自然と厳しいものとなった。

「どこのチームか分かるか?」
「いくつか思い当たる候補があるにはあるけどな…」

残念ながら服装では判別できなかったと漏らす夕日の言葉を玲が遮った。

「私の所へ来たメールからアドレスを辿ったのですが、恐らく青鷺(あおさぎ)の所かと思われます」
「あぁ、青鷺なら俺の候補にも入っていた」

「酷いことするよね」
「ッチ、胸糞悪ぃ」