清楚な外見の少女には明らかに不釣り合いなもので、思わず男は彼女の太ももを手で掴み文字がよく見えるようにグッと引き上げた。

「ひゃっ」

「おぉっ?!」

外野の囃し立てる声が聞こえるが、もう男には一切聞こえていなかった。

刻まれていた文字は100。
まるで家畜のような扱いに男は顔を顰めた。
もういいとばかりに男は少女のスボンを上げしっかりと留めてやる。

「もっと肉付けろ」

「…?皮下脂肪?」
「……その言い方色気ねぇ」

男が少女に向かって言ったのはそれだけだった。

「で、夕日。
何があった?」

「数字の100の刺青。
どこで暮らしてきたかは知らないけど、…こんな小さい女を、まるで奴隷みたいな扱いをしてきた奴らには反吐が出(・・・・)る」

男のこの言葉だけで大方の事情は察したらしい。話を聞いていたそれぞれの目には驚愕や怒りが篭っている。
少女が100番であることも信じてくれたようで何よりだよ思う。

「…お前はモモだ。いいな?」

「モモ?」

100番だから(モモ)
簡単なネーミングかもしれない、だが少女は嬉しそうにモモ、と呟いた。

「モモか。夕日にしてはいい名前を付けたな!」
「えー可愛いじゃん!」

ライオンを思わせる男が、そこでふと話を切り出した。

「自己紹介をしよう」