少女は男が階段を登り切るとドアを開けるために下ろされる。

ドアを開けて中に入ると少女は目を僅かに見開いた。

何とも不思議な家具配置をしているのだ。
会議室であるかのように、大きな長い机を囲むようにソファーがいくつも配置されているのだ。そのソファーにはもう既に何人かが着席していた。

助手席に座っていたあの人も既に着席して、目の前にノートパソコンを開いていた。

特別感のある一番端の一人席に座っていた男は金髪をしていた。

「…ライオン？」

確かに似ているかもしれない。金色の、癖があるのか少し広がった髪がまるで図鑑で見たライオンを思わせる。
だが、どちらかと言えば欠伸(あくび)をしている写真のライオンに似ているような気もする。

彼は眠りに耐えているのか眉間に皺を寄せて目を瞑っている。

それならばと、少女を拾ってくれた男は何に似ているだろうかと考え男を見上げる。

髪色は黒で、前髪が目にかかりそうなぐらいの長さ。スッキリとしたタレ目がちの目のすぐ下にはホクロがあり、色気を感じる。
髪より色素が薄く灰色がかった瞳に、長く量の多いまつ毛が影を落としており、ふと吸い込まれそうになった。

「？…どうした？」

「クロヒョウ！」

あぁ、図鑑に載っていたクロヒョウに似ている。

少女は嬉しくなって男の手を掴みブンブンと上下に振る。男は困惑しているようだ。