モモはまるで自分が褒められているように胸を張った。
「貴女をずっと閉じ込めていたこちら側に責任があることはわかっています。
貴女が逃げたくなるのもわかりますが、どうか戻ってきてくださいませんか」
薄々勘づいてはいたが、二階堂はあの病院の関係者だったらしい。
モモに対し対等に、そして真剣に向き合って話している。
中に入っていた時はそれほど感じてはいなかったが、外を知った今、自分からあの窮屈な所へ戻ることはしたくない。
「今日までで四人です。
何の数だかわかりますか?」
二階堂は指を四本立ててモモに問う。
モモはなんとことだか分からなくて首を振った。
「貴女が病院を出てから救えなかった患者の人数です」
「!」
モモが居なくなったせいで、誰かが命が落とす。
直面してこなかった現実を真正面から突きつけられ、モモは愕然と目を見開いた。
途端にどうすれば良いのかわからなくなり視線を地面にさ迷わせた。
徐々に霞む視界に、ちらりと見えた自身の右手は震えていた。
「申し訳がないのですが、私たちには貴女を連れて帰る他に道がないのです」
後ろに控えていた大柄のサングラスの男がモモの腹を肩で支え、その体をいとも簡単に持ち上げた。
このままでは連れて行かれる。
だがモモにはもう抵抗する気力すらなかった。
「…モモちゃんっ!?」
「これは申し訳がないことを。お連れ様がいらしたとは」
華が悲鳴をあげる。
これで夕日は気がついてくれるだろうか。
気付いて欲しい。
華が出てきてくれたことで、なんとか少し気持ちが落ち着けたような気がする。
とりあえず逃げないといけない。
ぼんやりとする思考の中、モモは自身を担いでいる男の膵臓を刺激し、少量のインスリンを分泌させた。
「貴女をずっと閉じ込めていたこちら側に責任があることはわかっています。
貴女が逃げたくなるのもわかりますが、どうか戻ってきてくださいませんか」
薄々勘づいてはいたが、二階堂はあの病院の関係者だったらしい。
モモに対し対等に、そして真剣に向き合って話している。
中に入っていた時はそれほど感じてはいなかったが、外を知った今、自分からあの窮屈な所へ戻ることはしたくない。
「今日までで四人です。
何の数だかわかりますか?」
二階堂は指を四本立ててモモに問う。
モモはなんとことだか分からなくて首を振った。
「貴女が病院を出てから救えなかった患者の人数です」
「!」
モモが居なくなったせいで、誰かが命が落とす。
直面してこなかった現実を真正面から突きつけられ、モモは愕然と目を見開いた。
途端にどうすれば良いのかわからなくなり視線を地面にさ迷わせた。
徐々に霞む視界に、ちらりと見えた自身の右手は震えていた。
「申し訳がないのですが、私たちには貴女を連れて帰る他に道がないのです」
後ろに控えていた大柄のサングラスの男がモモの腹を肩で支え、その体をいとも簡単に持ち上げた。
このままでは連れて行かれる。
だがモモにはもう抵抗する気力すらなかった。
「…モモちゃんっ!?」
「これは申し訳がないことを。お連れ様がいらしたとは」
華が悲鳴をあげる。
これで夕日は気がついてくれるだろうか。
気付いて欲しい。
華が出てきてくれたことで、なんとか少し気持ちが落ち着けたような気がする。
とりあえず逃げないといけない。
ぼんやりとする思考の中、モモは自身を担いでいる男の膵臓を刺激し、少量のインスリンを分泌させた。

