モモイロセカイ

モモは曖昧に笑って誤魔化した。

「何か食べて行かれますか？」

優しそうな店員が微笑ましそうに聞いてくるので、それならばとモモはモンブランとチョコケーキを頼んだ。

店員はわかっていたように先輩後輩で話が盛り上がっているところの席に、ケーキを持って行った。

「ごめんなさい、勝手に注文しちゃって…」
「全然構わないよ。食べていく？」

春馬は勝手に注文したことを怒るつもりはないようだ。
モモが勝手に注文したとはいえ、華はそれに安堵する。

並んでいるのは二人掛けのソファー二つであるため、店主が座ると一人分が足りない。
それに気がついた店主は席を立とうとする。

「やめてください！
先代立たせて俺らが座っているなんてできませんって！」

「そう？なら一人掛けの椅子取ってくるけど」

「お気遣いありがとうございます」

夕日はモモの腕を引きストンと股の間に座らせる。
いきなりで少し驚いたが、その分一席空きができたので丁度いいのだろう。

「えっ、本当にそこで大丈夫なの？」

モモは自信を持って大きく頷いた。

チョコケーキを口に含むとそれだけで幸せが溢れてくる。
甘さが丁度いい。ほろりと口の中で溶けていくように軽く食べることができるので、ついつい気がつけば半分ぐらいを食べてしまっていた。

「あれ、もういいの？」
「夕日にあげる」

「何それ可愛すぎる…」

夕日からはドーパミンが出ており、心からモモを可愛いと言っていることが伝わってくる。
痛いぐらいにお腹を抱き込まれた。

腕を軽くペチペチと叩くと離してくれる。