モモイロセカイ

なんとなくの雰囲気は掴めたような気がするので、詳しく理解するのは後に回してもいいだろうと一度頭の中をリセットする。

何事も考えるのは楽しいが、のめり込まない方がいい。

「あの、私もついて行ってもいいですか?」

そっと控えめに声を上げたのは華だ。

珍しいこともあるものだと直人は驚き、モモがそれは真意かと喜びを全面に表情を浮かべる。
華がモモに近付く姿勢をこれほどまでに見せたのは、あの苗字の件以来のことだ。

モモと華に向けられる生暖かい視線に、華は照れ隠しでもするように少し早口で言葉を切り出した。

「毎日ここに来ているので外に出れてないんです!
まぁ皆さんは巡回で外に出ているからわからないと思いますけども」

「そうだよなぁ、そうだよなぁ!俺らはちゃーんと分かってるぜ?」

華は懲りずにニヤニヤと揶揄ってくる直人の背中をべしりと力を込めて叩く。
それほど痛くはなかったのか、反応が良くないのが鬱陶しい。

「じゃあ、行くメンバーは僕とモモと夕日、あと華ちゃんでいい?」

外には出ないつもりらしい残りのメンバーから買ってきて欲しいケーキのリクエストをいくつか聞き、下っ端たちに見守られながらモモ達は倉庫を出た。