あれから二回ほどまた学校へ通うと、直ぐに夏休みに入った。
しばらくは学校も何も無く、倉庫にずっとこもって毎日宿題と戦うのにはモモも退屈していた。

その日は幹部メンバーが全員揃っており、華も宿題を持ち込みで幹部部屋に参戦して来ていた。
華が言うには、下っ端たちも同じような状況で宿題と格闘しているらしい。

直人はもう三十分以上前にダウンしてしまって床に寝そべっていた。

まだまだしっかりと集中力を保っているメンバー達には悪いが、モモももうそろそろ限界だ。
カリカリと英語のテキストに書き込んでいた夕日の膝にもたれかかり両手からグッと体重をかけると、夕日はペンを置いてモモを膝に乗せてくれる。

「なぁに、モモはもう休憩するの?」

「うん休憩ー」

モモも同じタイミングでみんなも休憩を取ってくれるらしい。
それぞれがはぁーと息をつき姿勢を崩す。
姿勢が崩れていないのは玲と、半分寝ている朝日ぐらいなものだ。

玲はパタンとテキストを閉じると、机に自前の物らしいパソコンを設置する。

前に画面を覗き込んでみたことがあるのだが、英語のような英語ではないような不思議な言語をひっきりなしに入力しているところであれも違うこれも違うと呟いていた。

「ね、玲は今何してるのー?」

「プログラミングですね。
どれだけセキュリティーを高めることが出来るか試してみようと思いまして、今友人とどちらがセキュリティーの高いものを作れるのかを競っております」

玲にしろその友達にしろ、複雑なことをするものだなとモモは思う。

未だにモモはインターネットに触れていないため、プログラミングなどと言われてもふーん程度に聞き流すしかないのだが、玲がなにか凄いことをしているということはよく伝わってくる。