うだるように暑い夏場、東条朝都(とうじょうあさと)が総長の暴走族ユグドラシルは、ビーチに繰り出した。
 東条朝都(とうじょうあさと)は海水パンツ(サーフパンツ)にアロハシャツを羽織っていた。黒髪で前髪を真ん中でわけていた。えりあしはきれいにカットしていた。イヤリングをしていた。目は大きく切れ長だった。眉は細く、鼻は高い。
 水平線を平行に水上バイクを走らせていた。よく晴れていて、日差しは強かった。空は泣きたくなるような青だった。
 もちろん安全運転。海水浴客や、潮干狩りの客に気を付けて、運転していた。
 朝都の横に、青い長髪の切れ長の目のメンバーが来た。青い半袖シャツを着ている。青いサーフパンツ。特攻隊長の結城まことだ。野いちご学園高等部応援団団長だ。青い髪がなびいていた。まことは朝都の水上バイクの横に来た。朝都が横を向いた。
 「まこと」
 「朝都」
 朝都は前を向いた。
 「いい風だろう」
 「そうだな」
 まことの横に水上バイクが来た。ショートヘアの男だ。海水パンツ一丁だ。まことはそっちを向いた。
 「真冬」
 まことは、言った。雪乃真冬、特攻隊副隊長だった。真冬がまことのほうを向いた。
 「まことさん」
 と、真冬はにっこり笑った。
 「沖のほう、行こうぜ」
 と、朝都が行った。
 「うん」と、まこと。
 朝都はゆっくり沖の方へまがっていった。まことが続く。そのあとに真冬。3人は一列になって沖へとゆっくり進んでいった。
 しばらく行くと、
 「この辺で止まろうぜ」
 と、朝都がいった。3人はエンジンをとめた。
 見渡す限りの大海原だ。沖から風が吹き付けてきて気持ちいい。よく晴れており、日差しが強かった。
 「気持ちいいだろう」
 と、朝都。
 「ああ」とまこと。