「鏡花ちゃん〜!!」


 そこへ慌ただしくパタパタと駆けてきたのはママだった。


「話は終わったの?大丈夫だった?」

「うん!ちゃんとパパと話せたよ」

「そう!よかった!もう心配で心配で、こっそり覗いていようかと思ったんだけど、八重ちゃんにもらったケーキが美味しすぎて夢中になってたら忘れちゃってたの〜」

「へーそうなんだぁ」


 もうママの天然には突っ込まない!!
 ほんとにうちのママってある意味大物なんだよな。
 でもパパも、ママのこういうところに惹かれたのかも……?


「あっそうだ八重!八重が那桜のこと連れて来てくれたんだよね」

「はい、ありがとうございました……八重姫?」

「…………」


 八重はさっきから黙りこくっていた。
 さっきまでは心配そうに私たちのことを見守っていたけど、今はちょっと様子が違う。
 左手にはスマホが握られていた。


「八重?どうかしたの?」

「鏡花、那桜さん……」


 なんか八重、顔が青ざめてる?


「大変なことになりましたわ……!!」

「えっ」


 その時だ。その時からパーン!という銃声が鳴り響いた。

 何!?急に何が起きてるの!?


「組長!お嬢!大変です!!」


 そこへ組員の一人が息を切らして走ってきた。


「何が起きた」

「そっ、染井の奴らが……!!」


 私はまだわかっていなかった。

 両家を結びつけるということが、どれほど大変なことなのかということを。