長い時を経て、再び重なり合ったニつのペンダント、
おばさんは指を閉じギュッと握りしめる、

二人の想いが、今おばさんの手の中で交わり愛しんでいる。
耳には聞こえないけど、キーン、ピキーンって甘く切なく呼び合う音色が心に響いて、胸がキュって苦しくなる。

「三十年ぶりに再会できたんだね、母さんよかったら結衣のお父さんとの話を聞かせてよ」


私たちとは反対だった、おばさんの一目惚れで始まった交際は、
今の私たちから見たら信じられないくらい純粋で手を握るのがやっと、
別れ際におっきな夕陽を背に震えながら交わした一瞬のキス、その後に訪れた永遠の別れ。


「主人には悪いけど、結婚してもしばらくは忘れられなかった、それでもね忘れようって努力はしてたんだよ、
彼が地元に帰ってるって知っていたから、通り過ぎる人並みの中にいつもその姿を追い求めていた」

同じだ、私も翔琉と別れてからそうだった、自分から別れを切り出しておきながら、偶然でもいいから再会したいと願っていた。


「翔琉も結衣ちゃんも、本当に大好きで離したくないのなら、どんなに恥をかいても無様でも構わない、繋いだ手を絶対に離しちゃダメだからね」



翔琉も同じ想いなのだろうか、

話を終えたおばさんが部屋を後にすると、互いに言葉を探して彷徨っていた、



握り直した手が汗ばんで、思わず絡み解かれた指先、
離れてしまう恐怖を敏感に感じ取ったのだろうか、
即座に翔琉が反応して私の手を握りしめると、そのまま押し倒された。

「結衣……俺はあんな悲しい結末は嫌だ! 
子供に未練を託す真似は俺にはできない、今のこの躰でお前を愛したい」

私も同じ気持ちだった、未来はどうなるにせよ後悔だけはしたくない。