猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

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2月中旬のとある日。
3時間目の授業が終わると、担任から職員室に来るように放送で呼び出された。

「雫、入試の結果じゃない?」
「……たぶん」
「早く行ってきな」
「うん」

急いで職員室へと向かう。

合格発表は正午ということになっているけれど、学校側には事前に通知が来るらしい。
普段緊張したりしない雫でも、この時ばかりは心臓が早鐘を打つ。

「失礼します」

職員室に入り、担任の机を目指す。
総合特進コースの教師陣の机は、職員室の最奥だ。

3時間目と4時間目の間の休み時間ということもあってか、職員室内も少しざわついている感じで。
その中を真っすぐと、担任目指して進んでいると。

南棟の教諭たちが、雫の姿を見るや否や、拍手で出迎えてくれた。

「おめでとう!」
「おめでとうございます」
「おめでとう、香椎」

何事かと驚く雫をよそに、担任が両手を広げて立ち上がった。

「香椎さん、合格おめでと~!」

担任の(みなもと) 亜沙子(あさこ)先生が、祝福のハグをしてくれた。
じんわりと滲む視界。
時間差で涙が溢れて来た。

「……ぁりがとうございますっ」

嗚咽のような鼻声のような。
普段泣いたりしない雫が、さすがにこの時ばかりは我慢が出来なかった。

「今、スマホ持ってる?なければ、学校の電話使っていいわよ?」
「へ?」
「ご両親に合格の連絡を一番先に入れないとね」
「あっ……はい」

今日という日は特別らしい。
職員室の中なのに、堂々とスマホの使用許可が出た。

すぐさま母親に連絡を入れると、『おめでとう』『よく頑張ったね』と簡素な返信が来た。