さっちゃんの彼氏 マーくんは、女の子の試し食いが得意な男子だったが、さっちゃんと付き合うようになって真人間になったと本人は言う。
付き合わなくても簡単に寝るような男子だったマーくんが、さっちゃんに一目惚れし、半年も性欲を我慢したくらいだ。
だから、今は身も心もさっちゃんに惚れ込んでる。

そんなリア充な二人が雫の初恋を応援しようと、受験の追い込みで忙しい中、時間を作ってくれたのだ。

「それ、彼から貰ったんでしょ?」
「……ん」
「そのお礼、しなくていいの?」
「……しようとは思ってるけど、何していいのか分からないし」
「そんなの、相談してくれればいいじゃん。うちら何のための親友なの?」
「……」
「雫はさ、付き合う云々以前に、今まで好きになった人がいないんだから、どういうのがいいとか知らないんだから、あまり急き立てるようなことは止めなよ、咲良」
「だって~」
「ちーちゃんもさっちゃんも、ありがとね」

イケメン育成アプリで培った知識だなんて、所詮絵空事。
理想の理想ってくらい、現実とかけ離れてることは重々承知してる。
だって、二次元の世界だもん。
何でもアリだしね。

「色々考えたんだけど、やっぱり『付き合う』っていう区切りは、合格してからにしたいんだよね」
「……ん」
「そうだよね」
「ちゃんと話せば分かってくれる人だとは思うけど、夜遅くまで長電話するとか、既読スルーで返信遅いとか言われても対応できないと思って」
「うん」
「そういうことに慣れてたら、また違ったのかもしれないけど。今はよそ見してる余裕ないから」
「雫の出した結論なら、私は応援するよ」
「私も」
「だけどね…」