猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)


車上荒らしに遭ったらどうするつもりだったの?
ううん、そうじゃなくて。
人生に一度きり……だと思うようなものを、何でこんな所に入れっぱなしなのよ!

こういうシチュエーションって、感動して嬉し涙が出るものだと思ってた。
だけど、現実は違うみたい。

怒り?
恐怖??
いや、違う。
言葉を失うほどの、茫然自失だ。

気付けば、左手薬指に大粒のダイヤが輝く指輪が嵌められている。

大好きな人から贈られた指輪。
嬉しいけれど、それ以上に呆気に取られてしまって。

「こういうデザインは嫌いか?」
「……へ?」
「なんか、嬉しそうじゃないから」

いや、嬉しいよ。
嬉しいけど、ちょっと感動に浸れる状況じゃなくない?

「虎太くん」
「ん?」
「この指輪、いつからここに入れてたの?」
「いつ?……車買ってすぐだから、3カ月前?指輪自体はもっと前に買ってたけど」
「……」
「今流行りのデザインが良かったとか?」
「……そうじゃなくて」
「……ん?」
「こういう高価なものは、こんな風に雑に扱っちゃダメでしょ!」
「あぁ~それもそうだな」

本当に分かってるかなぁ。

今までお互いに高価な贈り物はNGにして来た。
私がまだ学生というのもあるけど。
長く付き合っていると、年々比例するように高額になりがちだと、さっちゃんからだいぶ前に教わったから。

金額ではなくて、心のこもった贈り物や、同じ時間を共有することの方が何倍も大事だと身をもって分かっていたから。

だからなのかな。
もしかして、贈りづらい環境を私が作ってしまってたのかもしれない。

「どうして、今のタイミングなの?」