猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

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「雫~~っ!!」
「げっ…」
「今日も来たね、しーちゃんの旦那」
「っっ……、だから~、まだ旦那じゃないって」
「もういい加減、OKしてあげたら~?」

19時過ぎに臨床実習(現場実習先:口腔外科専門の指定歯科医院)を終えた雫を迎えに来たようだ。


医科歯科大学の歯学部に進学し、6年目。
博士課程も終え、残りは臨床実習をこなしながら、夏明けからある卒業試験(合計3回)と歯科医師国家試験を残すのみ。

近年、歯科医師国家試験の合格率が年々下がっていることもあり、卒業試験はますます厳しくなっているという。

歯科医師国家試験より卒試(卒業試験)の方が難しく、3回の平均で卒業の可否が決定する。
同じ学年を2回以上通うことはできないという大学のルールがあるため、卒試に2回失敗すると、大学中退となる。

幾ら成績がよくて、修士や博士課程を終えていても、卒試に合格しなければ何の意味もない。

そんな状況の雫だが、最愛の恋人・虎太郎からの猛アプローチは6年経った今でも変わらず。
いや、どんどんエスカレートしていると言った方が正しいか…。

白修館大学の教育学部を卒業し、今年から設立された付属の小学部に教諭として勤務し始めた虎太郎。
元々勉強は結構できる方であったが、唯一音楽が苦手だったようで。
空手の稽古より優先するくらい、毎日ピアノの練習をしたほどだ。


付き合い始める前からプロポーズ的なことは言われていたが、大学を卒業し、就職したのを機に拍車がかかって来た。


分かってる。
何でもかんでもいつも我慢させて、待たせてるってことくらい。