猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)


空手をやめた後の人生を考えた時に、自宅の道場を継ぐのも一つの選択肢ではあるけれど。
実際問題、道場の経営だけでは食べて行けない。

うちの両親は、母親の実家の設備会社の経営もしている。
だから、自宅道場を継ぐのであれば、設備会社も継ぐような人生設計になるだろう。

ふと俯瞰して考えてみたけれど。
どうも俺には設備会社の仕事は無理だ。

アルバイトのような形で手伝ったことが何度もあるが、正直あれが一生続くと思うだけで気が重い。

両親には『やりたい事をすればいい』と言われていて。
雫が受験勉強をしていた時から、ずっと考えていた。

教師になりたいと。
それも、体育教諭ではなく、小学校教諭になりたいと。

逆上がりや跳び箱が苦手な子。
算数スキルの宿題に頭を抱える子。
友達と喧嘩して、なかなか謝ることができない子。

そんな未知数の子供の成長を手助けしたり、見守ったりする存在になりたい、そう思えた。

それは、あの日。
初戦敗退で号泣する俺に、温かい手を差し伸べてくれた、雫の優しさに触れたのが最大のきっかけでもある。
あんな風に、誰かの心に寄り添える人間になりたいと思うようになった。

「雫が思ってるほど、俺モテないよ?」
「モテるよっ!モテてるよ!!自分じゃ分からないかもだけど、津田家のDNA、最強なんだよ?!」
「フフッ、…何だそれ」
「虎太くんも匠刀くんもイケメンだけど、虎太くんのお父さん、親の世代じゃ()()()有名なイケメンだったって母親も言ってたし、大人の色気がハンパな「親父みたいなのがタイプなわけ?」
「んっ…」

熱弁する雫をソファに押し倒した。