「俺のどこが好き?」
「へ?……いきなり、どうしたの?」

津田家を出て、自宅へと送り届けて貰っている道中で、質問された。
何だか、ちょっと不機嫌オーラを感じるんだけど。

「ガン見」
「……ん?」
「匠刀の顔、すっげぇガン見してたから」
「……そう?」
「男の俺が見てもあいつはイケメンでカッコいいと思うし」
「……」
「惚れないで下さ………匠刀に惚れんな」

まさか、嫉妬してくれてるの?
実の弟に??

「惚れるも何も、虎太くんにそっくりだなぁと思って見てただけだよ」
「……」
「本当だよ?虎太くんはワイルド系で、匠刀くんはマイルド系かな?って思って。毒気が抜けたというか、ちょっと物足りないというか」
「どういう意味?」
「だから、虎太くんの顔が100%なら、匠刀くんの顔は70%くらい?」
「……それって、俺の方が好みってこと?」

可愛すぎる。
飼い主におやつを欲しがる子犬……いや、大型犬みたいで。

両手で彼の頬を包んで、真っすぐと見つめて。
目一杯背伸びをして、チュッとキスをした。

「もっかい」
「NO」

可愛く駄々をこねるからキスしたけど。
さすがに人通りがあるから、これ以上は無理。

「今日初のチューだったのに」

そう言われてみれば、そうだ。
私がミルクティーを零しさえしなければ、もう少しいちゃいちゃできただろうけど。

「足りない?」
()()()()、足んないっ」
「……私も、毎日虎太くん不足だよ」

私だって物足りないよ。
メールや電話じゃなくて、毎日こうして会いたいもん。

「せんぱ……雫のお母さん、もう家にいる時間?」
「どうだろ」
「送って行くついでに、宿泊の許可貰います」
「は?」
「そしたら、今夜うちに泊まりに来れるでしょ」
「……」
「うちの親は、嫁に来て欲しいって言ってるくらいだから、即許可出るよ」
「っっっ」
「そうと決まれば…」

我が家に向かって歩き出す彼。
ホントに許可取れそうで怖いんだけど。