猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)


GW中のとある日。
部活が午前中しかないというので、バイトを休みにいておいた雫は、昼過ぎに虎太郎の家にお邪魔している。

「今日は誰もいないの?」
「さっきまで弟がいたんだけど、友達の家に遊びに行った」
「そうなんだ」
「親父は連盟(全日本空手道連盟)の理事会で不在だし、母親はツツジって言ってたかな……、花見に行ってる」
「……そっか」

誰かしらいると思って安心しきっていた。
まさか、二人きりになるだなんて……。

「あ、そうだ。……これ」
「何すか、これ」
「プリンなんだけど、父親が出張先から大量に送って来たから、お裾分け」
「マジっすか」
「まだ敬語口調直ってないよ」
「あ」

正確には敬語とは違うけど、それでも語尾がちょっと気を遣われてる感が否めない。
完全に定着してて、たまにタメ口で言われると、返ってドキッとしてしまう。

「冷たいのとホット、どっちがいいっす……どっちがいい?」
「……フフッ、ホットがいいかな。手伝うよ」

考えながら口にしてるのが可愛い。
頑張ってくれてるのが嬉しくなる。

「ヘアサロンに行った?」
「……あ、これね。ヘアアイロンで巻いただけ」
「へぇ~、なんか雰囲気変わりますね」
「でしょ~」

さっちゃんと母親に教えて貰ったヘアアイロンの使い方も、最近漸く慣れてきた。

虎太くんに可愛く巻いた髪を見て貰いたくて、このところ毎日のように巻いて大学に通っていた。

「でもなんか、どんどん大人になってるみたいで、すげぇ焦る」
「え、何で?中身は何一つ変わってないよ?」
「そういう問題じゃなくて、何つーか、先輩が俺の知らない人になっちゃうみたいで寂しいっつーか」
「何それ。……虎太くんのために頑張って練習したのに」
「は?」