あの日、桜のキミに恋をした

美月によると、私のことを好きでいてくれた彼は、当時たまたま私と康介が一緒にいるところを見かけて付き合ってることを知ったらしい。


あの頃の康介は長髪でやんちゃもしてたし、ぱっと見の印象は確かにあまり良くはないかもしれない。


彼の中に〝なぜ自分ではなく康介なのか〟という(ひが)みが生まれ、それは段々と「なぜあんな奴を選ぶのか?」という私への恨みに変わっていった。


私が康介の友達とも会っていたのを見て、「阿部さんは大人しそうに見えて彼氏の友達をセフレにしてる」だとか、「複数プレイを楽しむ変態」とかそんな真っ赤な嘘を陰でクラスに触れ回っていたらしい。


まずそもそも、小林くんに康介のことを〝あんな奴〟なんて言われる筋合いはない!


結局、彼が好きだったのは私なんかじゃなく〝自分自身〟なのだ。

 
私は拳を強く握りしめた。


文化祭の時(あのとき)、なんで彼なんかに構ってしまったんだろう。


放っておいて康介と回れば良かった。


そしたら今頃こんなことにはなっていなかったのに……。


彼のためにやったことが原因で康介と別れの危機に陥ってるなんて悔しすぎる。


私の中にはフツフツと怒りが込み上げていた。これは彼にひと言言ってやらないと腹の虫がおさまりそうにない。


私は放課後、小林くんに会いに行くことを決めた。