あの日、桜のキミに恋をした

Side 由奈


さっき康介に送ったメッセージはすぐに既読がついたのに、返事がひと言もこないのが気になっていた。


小林くんといるということを知っていたなら、遠くから私たちのことが見えたのかもしれない。


もし私が康介と他の女の子が一緒に回っているのを見かけたら、間違いなく嫌な気分になる。


私は今まさにそれを康介にしてしまったのだ。


「ごめん小林くん!ちょっとここで待っててくれる?」


「あ、ちょっと阿部さん!」


背中越しに小林くんの声が聞こえたけれど、私は彼を残したまま走り続けた。